研究課題/領域番号 |
26820281
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
三井 好古 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (90649782)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 磁場中熱処理 / マンガン系強磁性体 / 反応焼結 |
研究実績の概要 |
本課題では、マンガン基強磁性体の合成に対する磁場効果に着目している。特にMnBiの反応焼結及びMn-Alの強磁性相への相変態について、磁場効果及びその起源解明と、磁場中合成による磁気特性の最適化について明らかにすることが目的である。前年度までで、Mn-Bi系の反応焼結に対する磁場効果は焼結の初期段階に影響していることを明らかにした。また、Mn-Al系の磁場中熱処理に着手した。 本年度は、MnBi及びMn-Al系の磁場中熱処理を行った。MnBiでは、磁場効果に対する微視的な知見を得るため、磁場中反応焼結過程におけるMnBi粒の形状と、結晶配向性について走査型電子顕微鏡による観察を行った。現在、観察結果を基に相変化と配向性に対する磁場効果について検討中である。 Mn-Al系では、1100℃から急冷することから得られるhcp構造を有するε相から、非平衡である強磁性τ相への相変態に対する磁場効果について、熱処理温度、熱処理時間及び磁場強度依存性について明らかにした。磁場中熱処理を行った試料は、ゼロ磁場中熱処理を行った試料より明確に磁化が増大した。この磁化の増大は、X線回折測定からτ相の生成量が増大したことによることがわかった。以上の結果は、強磁性τ相が磁場で優先的に生成されたことを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は主にMn-Al系の強磁性相への相変化に磁場効果に焦点を当て、課題を遂行してきた。Mn-Al系においては系統的に磁場と熱処理温度、熱処理時間を変化させて、磁気特性の評価を行った。その結果、Mn-Bi系と同様に、明確な強磁性相への相変態が磁場中熱処理によって促進することを明らかに出来た。また、その磁場効果が現れる最適な熱処理温度について、明らかにすることが出来た。 Mn-Bi系においては、磁場効果の起源解明のため、磁場中熱処理を行った試料について、熱処理時の磁場方向と平行、垂直方向について微視的観察を行っている。 以上の理由から、H27年度は、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度は、Mn-Bi系の強磁場中熱処理後の試料の微視的観察を引き続き行い、磁場中反応焼結の起源についての知見を得る。結晶粒の形状、サイズや、結晶配向性について、走査型電子顕微鏡による観察や、X線回折測定を行うことで明らかにする。また、Mn-Al系については、これまでに磁場中合成によってτ相の生成が促進されることが明らかになった。その起源について、ε相、τ相の自由エネルギーとゼーマンエネルギーの観点から考察を行う。 H28年度は最終年度であるため、これまでに得られた結果を元に、本課題の目的である、「マンガン系強磁性体の磁場中合成の最適化」について指針を得る。
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