一般的な9Crフェライト系耐熱鋼において、クリープ強度は転位強化と炭化物析出強化の複合によって向上することが知られている。しかし、その複合による相乗的な作用の材料学的背景については不明な点が多い。本研究では、転位回復の抑制に寄与すると考えられているM23C6の分散状態を、それが生成する粒界の性格別に定量評価した。その結果、M23C6のサイズと被覆率には明らかな粒界性格依存性があり、旧γ粒界のM23C6サイズは大きく、被覆率が高い一方で、クリープ変形中の成長が早く、被覆率の低下が他の粒界に比べて顕著であることを明らかにした。
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