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2014 年度 実施状況報告書

摩擦によるメカノケミカル反応装置の開発と反応生成物に及ぼす力の作用の定量的解明

研究課題

研究課題/領域番号 26820329
研究機関岐阜工業高等専門学校

研究代表者

本塚 智  岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (30585089)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード炭素繊維 / メカノケミカル / 官能基 / 黒鉛
研究実績の概要

メカノケミカル反応は、機械的外力(以後、“力”と表記)によって形成される、反応性の高い新生面で誘起される反応であり、ものづくりに広く応用されている。しかし、その反応機構、すなわち、新生面や生成物の形成過程と構造に及ぼす力の作用は、定性的な理解に留まっている。新生面の形成法として、材料に大きな力を付与できる”粉砕”が専ら適用されてきたが、力の作用を定量的に解明できれば、“撚(よ)り”や“研磨”といった、付与する力の小さな手法も適用可能となる。また、力による生成物の高精度な構造制御が可能となる。解明の難しさは、反応に寄与する力の実測と、新生面や生成物の抽出の難しさに起因する。本研究では、粉砕ではなく摩擦によるメカノケミカル反応装置を開発し、新生面と生成物に及ぼす力の作用を定量的に解明する。
2014年度は、摩擦によるメカノケミカル反応装置の開発を予定通り完了した。開発した装置は炭素繊維に与える摩擦力を0~1000 mNの範囲で1 mN単位で制御可能で、摩擦速度を0~20 cycle/sの範囲で0.02 cycle/s単位で制御できることを確認し、当初の設計仕様を満足した。さらに、本装置で炭素繊維同士を実際に摩擦し、炭素繊維表面でメカノケミカル反応を誘起した。さらに、その炭素繊維の表面黒鉛構造をラマン分光法によって分析・評価し、さらにメカノケミカル反応によって形成される最表面の官能基を、X線光電子分光法によって分析・評価した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

2014年度はメカノケミカル反応装置の完了までを予定していたが、実際は次年度のステップである炭素繊維同士の摩擦による新生面の形成と分析・評価まで進み、有意な結果を得ることができたため。

今後の研究の推進方策

予定通り、ナイロン6繊維と炭素繊維間の摩擦によるメカノケミカル反応実験及び、メカノケミカル反応による新生面と生成物の形成エネルギーの定量的解明に着手する。また、ナイロン6繊維と炭素繊維間では反応生成物が認められなかった。そこで、より反応性の高い溶融ナイロン中で炭素繊維の摩擦実験を行う予定である。その後、企業との共同研究推進および特許の出願を積極的に推進し、実用化に向けた研究を展開する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初、機械設計を外注する予定であったが、支給額が申請額より低く予算不足となったので、自前で機械設計を実施した。合わせて設計を工夫することで、装置製作のコストが低減したため。また、一部の実験装置を同機関の研究者より借用できたため。

次年度使用額の使用計画

ナイロン6の繊維で摩擦試験を実施したところ、メカノケミカル反応を誘起出来なかった。そこで、溶融ナイロン中で炭素繊維を摩擦し、より反応性の高い環境で実験を行う。そのための装置の改良に利用する。

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公開日: 2016-06-01  

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