メカノケミカル反応の定量的な理解を目指し、摩擦によるメカノケミカル反応装置を開発した。本装置で摩擦した炭素繊維を走査型電子顕微鏡・ラマン分光法・X線光電子分光法で分析・評価し、せん断力による繊維の構造変化は、繊維の極表面(数nm以下)に限定され、COOH等の大気由来の官能基が繊維表面に修飾されることを明らかにした。繊維の接触面積を計測し、メカノケミカル反応による官能基修飾に必要なせん断応力を見積もった。その結果、170 MPaでは殆ど官能基は修飾されず、300 MPa以上で修飾されることを見出した。すなわち、メカノケミカル反応による生成物にせん断力が及ぼす作用を定量的に解明することに成功した。
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