【溶液成長界面における貫通転位欠陥の動的挙動の調査】 研究代表者らが独自に確立した可視光透過観察法により、溶液成長界面のIn-situ観察を実施した。Fe-Si溶媒を用いたon-axis 4H-SiC(0001) Si面上への1400℃での溶液成長界面の観察により、種結晶中に内在する貫通らせん転位を起点とした4H-SiCのスパイラル成長の進行が確認された。さらに、スパイラル成長とステップが競合する過程を観察した結果、スパイラル成長の活動を停止させるためには、数百nmの高さのステップがスパイラル中心を通過する必要があることがわかった。この競合ステップの高さ解析により、スパイラル成長との競合によるステップの高さ変動や、前進速度の変動の予測が可能になった。これを応用することで、スパイラルの活動停止に必要なステップの条件を概ね決定することができた。 次いで、1600℃にてFe-Si溶媒およびSi-Cr溶媒を用いてon-axis 4H-SiC(0001)Si面上への溶液成長の界面観察を行った。1400℃の場合と同様に、溶媒系に依らず種結晶中の貫通らせん転位を起点とした4H-SiCのスパイラル成長とステップフロー成長が競合する過程が観察された。また、溶媒組成により規定される炭素溶解度の温度依存性によって成長速度が整理できることも確かめた。一方、Fe-Si溶媒では面内の異方性が見られなかったのに対し、Si-Cr溶媒では面内の異方性が顕著に現れることを確認し、さらにバンチングの挙動にも差異が認められた。以上より、溶液成長界面のIn-situ観察により溶媒系および温度の成長挙動への影響を定量評価することに成功した。
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