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2014 年度 実施状況報告書

易分解性SAPO-34由来パーツを材料とした水素分離膜の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26820335
研究機関大阪大学

研究代表者

廣田 雄一朗  大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (60632437)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードゼオライトナノブロック / ガス分離 / 水素分離膜
研究実績の概要

水素は環境負荷の小さいエネルギーとして着目されているが,その利用には水素の分離精製が必要不可欠である.中でも分離法は省エネルギー型の分離精製プロセスとして,産業界から大きく着目されている.
我々は,「ゼオライトの高い水熱安定性」と「大面積への容易な製膜」の両立を目指したゼオライトナノブロックを考案している.本研究では,既往研究の課題であった製膜溶液の安定性改善を目指し,新たに見出した易分解性SAPO-34と名づけたゼオライト類似化合物を原料とした新規なゼオライトナノブロック膜の開発に取り組む.
本年度は,①SAPO-34ナノブロックの構造解析,②1 cm角平板支持体への製膜条件の探索を行った,①のSAPO-34ナノブロックの構造解析では,易分解性SAPO-34を塩酸に溶解させ,乾燥して得られたサンプルの固体NMR解析を行った.その結果,溶解前に見られたSAPO-34骨格を示すピークが確認でき,溶解後もSAPO-34骨格が部分的に存在していることが判った.また,骨格中のSi比率を小さくすることで,残存する骨格が増えることも見出した.ゼオライトの酸による溶解は,ゼオライト中のイオン交換サイト付近で起こることが知られており,SAPO-34のイオン交換サイトはSiであることから,今回得られた結果は先の事象と一致する.②の平板支持体への製膜条件の探索では,まずSAPO-34を塩酸で溶解させたものを製膜溶液としたが,緻密な膜が得られなかった.そこで,SAPO-34と既往研究で用いていたA型ゼオライトの混合物を硫酸に溶解させたものを製膜溶液とすることで,水素/プロパン分離係数100以上の膜を得ることができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度の目標は,平板支持体上に水素/二酸化炭素分離能を有する膜の合成条件を確立であった.しかしながら,SAPO-34のみを原料とすることでは緻密な膜が得られなかった.この理由として,既往研究で課題であった溶液の不安定さの原因であるシリカネットワークの形成が,膜を緻密化する働きを併せもっていたことが考えられた.そこでSAPO-34とA型ゼオライトを混合することで,SAPO-34由来パーツを,A型ゼオライトを溶解することで形成されるシリカネットワークに結合させ,緻密な膜を得ることを考えた.また,製膜溶液の安定性と,緻密化に必要なシリカネットワークの両立を目指し,不揮発性の硫酸をゼオライトを分解する酸水溶液とした希薄な製膜溶液を用いた.その結果,二酸化炭素よりも大きな分子であるプロパンに対し,高い水素選択能を有する膜の開発に成功した.今後,更に製膜条件の絞り込みを行い,水素/二酸化炭素分離能を有する膜の合成条件の確立に取り組む.

今後の研究の推進方策

シリカネットワークの形成を目的としたA型ゼオライトの添加と,不揮発性の硫酸の利用は,緻密なゼオライトナノブロック膜を得る有用なアプローチと考えられる.今後の方策として,SAPO-34とA型ゼオライトの混合比率や,硫酸アルミニウムなどの水溶性の不純物の影響などを検討し,高い水素/二酸化炭素分離能をもつ膜の開発に取り組む.

次年度使用額が生じた理由

少額のため来年に繰越す。

次年度使用額の使用計画

平成27年度の物品費として使用する。

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公開日: 2016-06-01  

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