MFI型ゼオライトのCO2吸着において、水蒸気によるCO2吸着阻害効果のより一層の低減を目標に、MFI型ゼオライトのCore-shell構造化条件を検討した。得られたCore-shell構造化MFI型ゼオライトについて、水蒸気共存CO2/N2を用いた吸脱着プロセスを繰り返し実施することで、Core-shell構造化の効果を評価した。CO2/N2=50/50、水蒸気分圧3.2kPa、40℃の条件で吸着、脱着は40℃、Heフローで実施したところ、通常のMFI型ゼオライトではサイクル2回目で50%程度のCO2吸着量の低下がみられたのに対し、Core-shell構造化MFI型ゼオライトではサイクル5回目においても吸着量の低減は15%程度であった。また、より過酷な条件(40℃、CO2/N2=15/85、飽和水蒸気圧7.4 kPa)で評価したところ、前述の結果と同様にCore-shell構造化によるCO2吸着量の低減抑制効果が確認できた。本プロセスでは脱着に熱エネルギーを加えておらず、水蒸気共存低圧CO2の分離においても、より低エネルギーなPSAプロセスの適用可能性を見出した。 MFI型ゼオライトはCore-shell構造化が容易なゼオライトであるが、一方でCO2吸着容量が低い。そこで、より大きなCO2吸着量が見込めるCHA型ゼオライトのCore-shell構造化を検討した。CoreとなるCHA型アルミノシリケートの合成は、フッ化物法により合成し、およそSi/Al=30のサンプルを得た。Core-shell構造化は合成したCHA型アルミノシリケートを核として用い、フッ化物法を用いて結晶外表面への純シリカCHA型ゼオライトの合成を試みた。合成したCHA型ゼオライトのCore-shell構造化の成否について、MTO反応により評価したところ、Core-shell構造化により反応生成物の分布に大きな変化が認められたことから、Core-shell構造化に成功したと判断した。
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