研究課題/領域番号 |
26820339
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
石神 徹 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (70595850)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エマルション / 数値シミュレーション / フェーズフィールド法 |
研究実績の概要 |
エマルションは食品,化粧品,医薬品,塗料など,産業界に広く用いられている.ほとんどの場合,エマルションを調製する際に,界面活性剤を添加して,エマルションを安定化させている.この界面活性剤がエマルション製品の価値や機能を決定するといっても過言ではない.さらに,エマルション製品は通常,塗布,押し出し,流下などの流動プロセスを伴うため,エマルションの流動性や流動時の安定性について,予測する技術を開発することは有意義である.そこで,本研究では,界面活性剤存在下におけるエマルション流れの数値シミュレーション技術の構築を行い,これを用いて,エマルションの流動特性や安定性に関する検討を行う. 本年度は主に,界面活性剤存在下におけるエマルション流れを記述する数値解析技術の構築を行った.界面活性剤添加に伴う,エマルションの界面張力の低下や安定化を反映可能な自由界面捕獲手法として,フェーズフィールド法を採用した.フェーズフィールド法は,統計熱力学に基づく手法であり,界面活性剤の界面吸着に伴う,自由エネルギーの低下を考慮することができ,これにより界面の安定化現象を表現することが可能である.本数値解析手法ではこれに加えて,界面活性剤の界面への吸脱着や拡散についても考慮した.構築した数値シミュレーションモデルの簡単な適用例として,界面活性剤存在下における液滴の合一シミュレーションを行ったところ,従来の手法では再現できなかった,界面の安定化や液滴の合一の抑制が確認でき,提示した数値シミュレーションモデルの有用性を示すことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者が提案した数値シミュレーションモデルの開発は,プログラム開発ならびに,既往の文献との比較が完了しており,順調に進展したといえる.一方,次年度実施する実験検証にむけて,エマルションの物性値の測定を実施する予定であったが,異動した所属先に当初使用する予定の装置がなかったため,界面張力の測定ができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
界面張力の測定装置を購入し,エマルションの物性を早急に測定した後,検証実験へと移行する予定である.所属の異動を当初想定しておらず,計画当初に使用する予定の実験装置が現在の所属先にないものが多いが,レンタルや代替品の購入などにより,当初の目的を達成したい.
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