研究課題/領域番号 |
26820342
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岩村 振一郎 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10706873)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 製造プロセス / リチウムイオン電池 / シリコン負極 / 炭素材料 / 複合材料 / ナノ構造制御 / 化学気相成長 / ナノファイバー |
研究実績の概要 |
シリコン(Si)は非常に大きなLi貯蔵容量を持つことから次世代リチウムイオン電池の負極材料として注目されている。しかし、導電性に乏しいことや充放電に伴う大きな体積変化が問題となり、実用化に至っていない。近年の研究ではSiナノ材料や炭素とナノ複合材料を作製することで高い負極特性が得られことが報告されているが、産業化に必要な生産性も伴っている材料はまだ開発されていない。そこで、本研究ではカーボンナノファイバー(CNF)の高効率な製造方法として開発した液パルスインジェクション(LPI)法を利用することでSi/Cナノ複合体を大量に生産する手法を確立することを目的としている。 平成26年度は負極特性が得られるSiナノ材料を効率的に製造できる原料の探索やLPI法の条件の探索を主な目的として研究を進めた。この結果、ヘキサメチルジシランを原料として用いた場合はSiと炭素からなるナノ粒子状の生成物が得られることがわかった。反応温度が高い場合、SiC結晶を形成してしまうが、温度を低くすることでSiC結晶の割合が低下し、Si-Si結合が形成していることが確認できた。このため、LPI法の条件を最適化することでアモルファスSiと炭素の複合粒子を作製できるものと期待できる。また、テトラクロロシランを原料とした場合、収率に課題は残るものの触媒反応を利用することによりナノファイバー状のSiを得ることができた。 今後はこれらの試料の充放電特性の評価を行い、高い負極特性が得られる試料の製造条件を探索していく予定である。また、市販のSiナノ粒子を原料として炭素との複合材料の作製も検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究計画はSi化合物を原料としてLPI法によりSiナノ材料を製造することであった。本年度ではSiのナノ粒子やナノファイバーの製造に成功したため、概ね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の結果よりLPI法によるSiナノ材料の製造についてはおおよその目途が立ったため、平成27年度はリチウムイオン電池の負極材料として高い特性が得られるように製造条件を調整していく予定である。また、市販のSiナノ粒子をLPI法の原料溶液に混合した材料製造についても取り組んでいく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は試料製造に注力したため、電池特性評価に充てる予算の一部の執行が遅くなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は予定よりも電池特性評価の比重が大きくなる予定なため、電池評価関連器具の購入額を補填する予定である。
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