ポリオキソメタレートは、バナジウム、タングステン、モリブデンなどの前周期遷移金属のオキソ酸が自己集合的に縮合したアニオン性金属酸化物クラスターである。ポリオキソメタレートは分子性が高く、多核金属構造を安定化させる無機配位子として働くことが出来る。本研究では、異なる金属からなる構造をポリオキソメタレート内に構築することを目的としている。 タングステンを基盤としたポリオキソメタレート内に、セリウムの四核構造を導入したポリオキソメタレートを合成し、セリウムとポリオキソメタレート骨格の間の電荷移動を利用することで、光触媒として働くことを見出した。コバルト四核構造では、水や温度に依存して立体的な構造と平面的な構造の間で可逆に構造変換し得ることを見出した。チタンを導入したポリオキソメタレートでは、活性種となるチタンペルオキソ種の単離に成功した。 バナジウムを基盤としたポリオキソメタレートは、タングステン系と比べて構造の自由度が大きい。フッ化物イオンを包接したポリオキソメタレートでは、酸の添加により、7核、11核のバナジウム種が段階的に合成されることを見出した。10核、12核、13核のバナジウム種に対して、酸、塩基の添加により、構造変換の関係性を解明した。四面体構造を有するバナジウムと金属カチオンを反応指させることで、マンガン、コバルトなどの核数制御が可能であることを見出した。イットリウムを含むポリオキソメタレートを合成し、カルボニルのシアノシリル化反応で、既報と比較しても最高レベルの活性を示すことが明らかとなった。
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