研究課題/領域番号 |
26820361
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田原 義朗 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 特定研究員 (30638383)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ナノゲル / マイクロスフェア / DDS / エマルション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ナノメートルサイズのバイオマテリアルとして多くの成果を上げてきた疎水化多糖ナノゲルの機能を、ボトムアップ型プロセスによってマイクロメートル以上のサイズを必要とする研究分野へ発展させることである。 本研究では、反応性ナノゲルとして、プルラン(P)にコレステロール基(CH)とアクリロイル基(OA)を修飾したCHPOAナノゲルを用い、エマルション内で分解性架橋剤を用いてナノゲルを架橋し、ナノゲル架橋マイクロスフェアを調製する計画であった。当初の核酸を用いた分解性架橋剤によるナノゲル架橋マイクロスフェアの合成は困難であったが、代替品として、ポリエチレングリコールの末端にシステインを導入したPEG-Cysを調製した。このPEG-Cysを用いてナノゲル架橋マイクロスフェアを調製した結果、血清、細胞、マウス皮下での分解性が向上する事が確認された。さらにモデル抗原タンパク質を封入し、マウスに皮下投与すると、数週間以上のリンパ節への徐放デリバリーが確認された。ここまでの成果によって、ナノメートルサイズのナノゲルでは不可能であった、数週間以上の徐放デリバリーが達成されたといえる。 最終年度は、ナノゲル架橋マイクロスフェアによってモデル抗原タンパク質のリンパ節への徐放デリバリーによって、どのような免疫反応が出るのかを検討する。さらに、ここまでの研究では、ナノゲルとして古典的なコレステロール修飾プルランを用いてナノゲル架橋マイクロスフェアの調製を行ってきた。今後、ナノゲル架橋マイクロスフェアによる、より意義のあるDDSを達成するには、ナノゲルそのものに意義のある機能が含まれる事が重要であると考えられる。今後はペプチド等の分子を用いる事によって、DDSにおいて要求されている有意義な特性を付与する事を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、反応性ナノゲルとして、プルラン(P)にコレステロール基(CH)とアクリロイル基(OA)を修飾したCHPOAナノゲルを用い、エマルション内で分解性架橋剤を用いてナノゲルを架橋し、ナノゲル架橋マイクロスフェアを調製する計画であった。当初の核酸を用いた分解性架橋剤によるナノゲル架橋マイクロスフェアの合成は困難であったが、代替品として、ポリエチレングリコールの末端にシステインを導入したPEG-Cysを調製した。このPEG-Cysを用いてナノゲル架橋マイクロスフェアを調製した結果、血清、細胞、マウス皮下での分解性が向上する事が確認された。さらにモデル抗原タンパク質を封入し、マウスに皮下投与すると、数週間以上のリンパ節への徐放デリバリーが確認された。ここまでの成果によって、ナノメートルサイズのナノゲルでは不可能であった、数週間以上の徐放デリバリーが達成されたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、ナノゲル架橋マイクロスフェアによってモデル抗原タンパク質のリンパ節への徐放デリバリーによって、どのような免疫反応が出るのかを検討する。さらに、ここまでの研究では、ナノゲルとして古典的なコレステロール修飾プルランを用いてナノゲル架橋マイクロスフェアの調製を行ってきた。今後、ナノゲル架橋マイクロスフェアによる、より意義のあるDDSを達成するには、ナノゲルそのものに意義のある機能が含まれる事が重要であると考えられる。今後はペプチド等の分子を用いる事によって、DDSにおいて要求されている有意義な特性を付与する事を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
核酸を用いた分解性架橋剤の合成は困難であった事から、ペプチドを用いたナノゲルの機能改変を行っている。最終的な合成に必要なペプチドは量が多く、高額であり、初年度はペプチド配列の選定段階であったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
最終的に合成に必要なペプチドを大きなスケールで購入する予定である。また米国での国際学会の発表を予定している。
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