研究課題/領域番号 |
26820365
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
細川 正人 早稲田大学, ナノ理工学研究機構, 次席研究員(研究院助教) (60722981)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | シングルセル / 全ゲノム増幅 / マイクロ流体デバイス / 1細胞解析 |
研究実績の概要 |
(研究目的) 生物圏のダークマターと呼ばれる難培養微生物の実態を明らかにし、生物の進化系統の理解を深めるため、シングルセルから完全なゲノム情報を獲得する「シングルセルゲノミクス」が潮流となりつつある。本研究では、難培養微生物のシングルセルゲノミクスの高精度化・ハイスループット化に向け、コンタミネーションリスクと増幅バイアスの最小化を実現した全ゲノム増幅法を開発する。 (研究方法)微生物をピコリットル容量の微小反応場(マイクロドロップレット)に網羅的に封入し、10万個胞以上のシングルセルに対して全ゲノム増幅反応を同時多並行に行うことで、シングルセルゲノムに由来するシークエンスライブラリーを迅速に構築する手法を確立する。 (研究成果)本年度は、シングルセルゲノム増幅反応場生成デバイスの設計・開発を行い、マイクロドロップレットへのシングルセル封入とゲノム増幅法の条件検討を行った。開発したデバイスを利用することで、試料から1細胞をドロップレット内へ単離することができ、さらにその内部で培養や微生物の産生する酵素の活性評価が可能であることを確認した。デバイスの構造として、ドロップレット同士の融合やダブルエマルジョン化等の機能を備えたシステムを開発し、試薬混合やFACSへの適用を可能とした。また、ドロップレット形成に利用するオイル組成や表面改質剤を最適化することで、ドロップレットサイズの均一化と作製安定性を向上した。マイクロドロップレットを用いた全ゲノム増幅法としては、MDAの応用を試みた。大腸菌をモデルとした検討の結果、MDAを従来のμLスケールの反応からドロップレットスケールの反応へとサイズダウンすることで、増幅バイアスを低減した産物が得られ、高いゲノムカバレッジを実現できることが明らかとなった。次年度から本システムを環境微生物のゲノム増幅に適用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究実施計画に従って研究を進め、次年度以降に必要な評価を完了した。大腸菌をモデルとしたゲノム増幅の精度評価など、次年度に計画していた一部の研究項目を前倒しして進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に従って、本手法を環境微生物のゲノム解析に応用する。環境サンプルを元に、微生物単離から全ゲノム増幅、増幅産物のライブラリー化までの一連の解析を実施できるシステム構築を完了させる。また、ゲノム増幅の精度評価を引き続き進め、本手法の適用可能範囲を明らかにする。
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