研究課題
燃料・酸化剤の混合ガス(爆発性混合気)中を超音速で伝播するデトネーション波は,最も激しい燃焼形態である.このデトネーション波を利用した内燃機関の理論熱効率は既存燃焼サイクルで最大であり,同時に超音速伝播による燃焼器の小型化を実現する.パルスデトネーションサイクル(PDC)は,筒状燃焼器中でデトネーション波を間欠的に生成する.このPDCの繰り返し周波数を増加させることによって推力密度や推力重量比が増加する.本研究は,燃焼器の全長で決定する気体力学上限周波数を達成することが最終目標である.本研究では,独自の手法である「燃料液滴パージ法(特願2013-001246)」に,新たに酸化剤高速充填手法(特願2015-251952)および高速燃料噴霧用としてピエゾインジェクタを導入した.本研究期間内では,気体力学上限周波数を達成するための基礎研究として,燃焼器内部可視化および爆発性混合気高圧充填の2種類の実験を実施した.繰り返し周波数1000ヘルツでの可視化実験では,シュリーレン光学観測および既燃ガス自発光観測を行った.その結果,PDCサイクルの各過程を高時間分解することに成功した.特に,酸化剤および爆発性混合気の充填速度が,燃料蒸発を考慮した充填モデルと一致した点,PDCの繰り返し周波数を支配する既燃ガス排気の特性時間を評価できた点は大きな成果である.混合気高圧化実験では,スロートも持たない筒状燃焼器でのPDC作動で初めて,混合気充填圧力を増加できることを示した.実験の結果,混合気圧力を2倍にすることで,点火からデトネーション波への遷移に必要な時間・距離を約半分まで短縮できることを示した.最終的に,1916ヘルツの最高繰り返し周波数を達成し,従来の周波数のオーダーを1桁向上させた.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (41件) (うち国際学会 13件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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