研究課題
本研究では各種分光計測手法を用いて高温衝撃風洞HIESTにおける異常過熱現象の原因を明らかにし、熱流束評価の精度向上に取り組んだ.当初は、不明な発光種からの多数の原子線が複雑に重なり合う発光スペクトルの解析が困難であり発光種の同定が困難であった.しかし、分光定数データベース及び他の風洞における分光計測に関する文献調査を注意深く行い、ほぼすべての原子線の同定に成功した。不純物として含まれる鉄や銅などの金属線が多数確認され、それらの発光強度が試験気体である空気の発光強度を上回っていることが明らかになった。さらに、発光種の同定結果を反映させ、スペクトル解析コードSPRADIANのアップデートを実施した。その結果、衝撃層内の温度および、各金属原子の数密度を定量的な評価が可能となり、計測点において、温度は7500K、不純物である鉄などの数密度は試験気体である酸素原子などの数密度よりも二桁低いことが明らかになった.さらに、その物理量を衝撃層内の代表値として用い、輻射加熱率を単純なtangent slabモデルで求めると、吸収率1であった場合、加熱率は22.5Mw/m2であると求められた.この値は、実験結果と比較すると2倍に過大評価されている.実際は、熱流束センサーの吸収率は、表面の酸化状態などにより0.8から0.1程度の値をとっていると考えられ、計算結果はおおよそ妥当な値を示していると考える.また、これらの結果を踏まえて、不純物の含まれない高速気流生成が可能な装置として開発を進めている膨張波管において加熱率計測及び圧力計測を行った.気流一様性を確認した結果,コア径は60mmと見積もられた。また加熱率は半球模型の淀み点にて5MW/m2であった。
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http://www.aero.jaxa.jp/research/basic/aerodynamic/aerothermodynamic/