推力軸回りの旋回トルク発生メカニズム解明のため、イオンエンジンの推力軸回りのキセノンイオンの旋回速度について、レーザ誘起蛍光法を用いて行った。旋回トルクは宇宙機の姿勢を乱しイオンエンジンの活用妨げになっている。この発生メカニズムは、従来、イオングリッドによるミスアライメントが主たる原因との学説が提唱されてきた。地上計測特有の低速イオンの影響を排除し、秒速45km/sで加速されるイオンに対して、最大70m/s程度の誤差で旋回速度を計測できる精密な測定系を構築した。これによりイオンエンジン内部の磁場で旋回したイオンがグリッド通過後も旋回速度を保ちトルクを生み出していることが初めて明らかになった。
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