本研究は宇宙機化学スラスタで使用される自燃性推進剤の自着火と噴霧燃焼形態を解明し、数値解析による燃焼予測の向上を図るものである。広く採用されるモノメチルヒドラジンと四酸化二窒素の衝突噴霧流の可視化に成功し、液膜分裂、蒸気生成、ガス着火、火炎伝播というプロセスで火炎が形成されることを解明した。数値解析では大規模詳細解析を考慮した2種類の解析コードを構築した。一つは質点近似法で噴霧燃焼を再現する手法であり、液滴サイズによって燃焼効率が大きく変化することを解明した。また、もう一方の界面追跡法による解析では液体推進剤周りで蒸気と外気による水素引抜反応による発熱が自着火を引き起こすことがわかった。
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