本研究では、浜本等が提案した船体水線面固定座標系での波浪中の操縦運動推定法を基に、船速が0付近まで低下する荒天海象を対象とした6自由度の操縦運動および船体動揺計算法を開発した。本計算法では、実験的に明らかにした高プロペラ荷重度状態での自航要素や船体・舵の干渉係数等の変化が考慮されている。 本計算法の一例として、大型タンカーを対象に荒天中の保針状態での船体運動を推定し、荒天中の操船限界、安全航行に必要な最低機関出力の評価を行った。その結果、本船の連続最大出力ではビューフォト風力階級7相当の海象中の向波・斜向波では操縦性能を保証する最低船速を満足できないことを明らかにした。
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