本研究では、現在の海洋環境中で行われている「生育に伴う有機高分子生産」という微生物機能に着目し、海水中の二酸化炭素を利用した物質生産の可能性、つまり光合成に依存しない海水からのCO2除去にも繋がるCO2資源化システムの構築・提案を目指した。本研究の実施によって、鉄を唯一のエネルギー源とし、海水中のCO2固定により生育する海洋性鉄酸化細菌の大量培養手法の構築、新種の鉄酸化細菌の単離、そしてそれら細菌が菌体外に産生する有機高分子の組成・構造を明らかにすることに成功した。これらの結果から、微生物機能を用いて海水中のCO2から有機物質の生産(CO2の資源化)システム構築への知見を得ることができた。
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