研究課題/領域番号 |
26820391
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
晴山 渉 岩手大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00451493)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 地層汚染修復 / 地下水・土壌汚染 / 環境浄化 / 廃棄物利用 / 促進酸化法 / 廃水処理 |
研究実績の概要 |
世界各地でワインは大量に生産されているが,廃棄物も大量に発生している。本研究では,このワイン製造工程から発生するワイン残渣を利用した廃水処理・汚染修復手法を開発することを目的としている。難分解性の有機化合物を分解処理する際に,フェントン法や過硫酸法等の促進酸化法がよく用いられている。促進酸化法は,有機酸が存在することにより有機化合物の分解を効率化できる反応がある。そこで,ワイン残渣中に存在する有機酸を用いた促進酸化法の検討を行った。H26年度の研究において,以下の結果が得られた。 岩手県のワイン製造工場からワイン残渣を提供頂き,まず,ワイン残渣からの溶出挙動を調べた。蒸留水15mLに対して各残渣10mgの添加量で,赤ワイン残渣が約200mg/L,白ワイン残渣が約200mg/Lの酒石酸が溶出することが分かった。 そこで,鉄イオンの光反応または過流酸法に,赤ワイン残渣と白ワイン残渣中に含まれる酒石酸を添加することによりトリクロロエチレンの分解促進が可能か検討を行った。その結果,鉄イオンの光反応および過硫酸法ともにトリクロロエチレン分解をワイン残渣添加により促進できることが分かった。また,ワイン残渣の添加量等の反応条件に関する検討を行い,トリクロロエチレンの最適な分解条件を明らかにし,酒石酸試薬を用いた場合とトリクロロエチレンの分解速度を比較した。その結果,ワイン残渣を添加した鉄イオンの光反応においては,酒石酸試薬を用いた場合のトリクロロエチレン分解速度定数の半分程度で,トリクロロエチレンを分解できることが分かった。一方,過流酸法においては,ワイン残渣を用いても,酒石酸試薬を用いた場合と同程度のトリクロロエチレン分解速度があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年の検討事項であるワイン残渣の入手,ワイン残渣の組成分析,促進酸化法にワイン残渣を用いた場合の反応条件の検討を計画通り行った。また,複数種の汚染物質に対しても,その分解を検討する予定であったが,平成26年度では,まだ十分に評価できていないため,引き続き来年度も実施する。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に評価が不十分であった複数種の汚染物質に対する本手法の評価を平成27年度に速やかに実施する。さらに平成27年度は,当初の計画通り,汚染物質の分解生成物の同定,汚染物質分解メカニズムの検討,汚染物質分解の速度論的評価,実用性の評価を検討していく予定である。 また、研究成果を随時、学会等で発表し、関連分野の研究者と議論することで、研究の内容を深める予定である。
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