研究課題/領域番号 |
26820400
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
柴田 欣秀 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (20633209)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ディスラプション / ハロー電流 / トカマク装置 / 電流クエンチ / MHD不安定性 / MHD安定性計算 |
研究実績の概要 |
ハロー電流発生においてプラズマの垂直方向の動き(垂直位置不安定性)はハロー電流発生量を決める非常に重要なパラメータとなる。昨年度はJT-60Uにおけるハロー電流実験解析を行ったため、本年度はディスラプションシミュレーションコードDINAを用いたJT-60Uにおける垂直位置不安定性の特性の調査を進展させた。その結果、電子温度が低いほど電流減衰率が大きくなり、真空容器等に発生する渦電流が増大し、プラズマ平衡に大きく影響を与えるため垂直位置の動きが大きくなることがわかった。JT-60Uの場合、すべてのケースにおいて装置上方への垂直不安定性の発生となった。しかし、真空容器の抵抗値を変化させて計算したところ、真空容器の抵抗値が小さい(渦電流が多く発生できる状況)場合でもプラズマの垂直方向の動きが遅くなり、垂直位置不安定性と渦電流の関係性を調べるためには詳細な渦電流の発生分布解析が必要であることがわかった。 また、電流クエンチ時の電流減衰率もハロー電流の発生量を決める上で非常に重要なパラメータとなる。昨年度の研究で、ディスラプションを発生させるMHD不安定性の発生位置、大きさにより電流減衰中の電子温度分布に違いが生じ、異なった電流減衰時間が発生している可能性を示唆した。本年度はDINAコードとMHD安定性計算コードMINERVAの連携計算を行い、電流減衰率とMHD不安定性の関係性についての調査を進展させた。ディスラプション発生前のMHD安定性計算をMINERVAにより計算したところ、プラズマ表面の安全係数は低い放電ほど電流密度分布のピークがよりプラズマ内部に発生し、MHD不安定性のモードのピークや広がりに違いがでることがわかった。高精度なハロー電流発生予測モデルの構築を行うべく、電子温度分布形成と今年度に得られた結果との関係性について調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はハロー領域の幅の評価に計算コードを使用する予定であったが、所属先が変更になり解析する環境が変わってしまったため、うまく進めることができなかった。そのため、本年度は来年度に実施予定であったDINAコードにおけるハロー電流計算モデルの検証を前倒しして進め、ハロー電流発生に大きく関与するDINAコードでの垂直不安定性に関する検討を行うことができた。 また、昨年度より行なっているディスラプションを発生させているMHD不安定性と電流減衰率の関係性を調べるために、DINAコードとMHD安定性計算コードMINERVAを連携計算し、プラズマ表面の安全係数は低い放電ほど電流密度分布のピークがよりプラズマ内部に発生し、MHD不安定性のモードのピークや広がりに違いがでることがわかり、ディスラプション中の電子温度分布の形成機構の解明につながる結果を得られることができたため、概ね順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は本科研費の最終年度であるため、ハロー電流計算モデルの構築を行うべく、今年度までに得られた実験データ、シミュレーション解析結果を基にモデルの作成、および実験データを用いたモデルの検証を行う予定である。具体的には、プラズマ電流の電流減衰、垂直位置不安定性(渦電流発生位置とプラズマ位置の関係性)、ハロー領域形成のモデルを検討し、すべてのモデルを含んだシミュレーション結果と実験データとの比較を行い、モデルの妥当性について検討する。また、今年度はJT-60Uにおけるハロー電流の幅の評価を行うことができなかったため、来年度は引き続きJT-60Uにおけるハロー電流発生時のハロー領域の幅の評価を試みる予定である。
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