研究課題
核燃焼プラズマにおける燃料イオンおよびヘリウム灰イオン、タングステンイオン等の輸送過程の解明と制御法の確立は、核融合炉における自己点火や定常燃焼の達成する上で重要な課題である。本研究は核融合プラズマの第一原理モデルである5次元ジャイロ運動論に基づいた多粒子種乱流シミュレーションにより、炉心プラズマ乱流中の燃料・不純物輸送過程の解析を行う。平成27年度までは、主に、多粒子種乱流シミュレーションモデルの開発や高度化、妥当性検証を実施した。異種粒子間の衝突に関して新たな数値モデルを考案し、衝突演算子が満たすべき保存特性やエントロピー増大則を高い精度で保持することが確認された。平成27年度から平成28年度にかけては、拡張されたシミュレーションモデルを用いて、ITERトカマクにおける多種イオンプラズマ乱流シミュレーション解析およびヘリカルプラズマにおける水素同位体乱流シミュレーション解析を実施した。2種の燃料イオンやヘリウム灰イオン、さらには実質量の運動論的電子の合計4粒子種から構成されるトカマクプラズマに対してジャイロ運動論的ITG-TEM乱流シミュレーションを実行し、それぞれの粒子種の乱流輸送特性明らかにすると共に、定常燃焼条件が成立する熱・粒子輸送および分布特性を第一原理モデルの見地から検証した。また、軸対称トカマクプラズマに加え、非軸対称ヘリカルプラズマにおける微視的不安定性や乱流輸送への水素同位体質量効果の影響に関する解析が成され、その結果、電子-イオン衝突を介したTEM不安定性成長率の顕著な同位体質量効果と付随するゾーナルフロー生成の増大が明らかとなった。一連の研究により、将来の燃焼プラズマにおいて不可欠となる多種イオン輸送や同位体質量効果に関する物理メカニズムの理論的解明が進展している。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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