研究実績の概要 |
ITERで予測されるMAオーダーの大電流逃走電子の発生に関し、逃走電子発生現象とディスラプション時の閉じ込め磁場喪失の関係を明らかにするためのシミュレーション研究を進めた。 今年度は、本研究で開発された逃走電子発生メカニズムを考慮した非線形MHDシミュレーションコードEXTREMを用い、m=1抵抗性キンクモードが不安定となる電流クエンチシナリオに対し、ディスラプション後の電子温度に関するパラメータサーベイを行った。その結果、ディスラプション緩和のための大量不純物入射で想定される低電子温度の領域において、鋸歯状振動が駆動するm=0, n=0の電圧スパイク(ここでm,nはポロイダルおよびトロイダルモード数)による一次逃走電子発生が顕著になることが明らかになった。加えて、鋸歯状振動にともなう逃走電子の対流輸送により電流分布が平坦化され、MHD安定なビーム電流分布が形成されること、およびビームの内部インダクタンスが低く抑えられことで電流クエンチが加速し、2次電子生成を通じた正味の逃走電子発生量が増加することを明らかにした。以上の成果をIAEA-FECおよびNuclear Fusion誌で発表した(掲載決定済み)。
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