少量の水分散ナノクレイ(2wt%)のみをゲル化剤とし鉄イオンを加えることで作られるチキソトロピックゲル線量計を開発した。この線量計はナノサイズの高い吸着機能により、ゲルへの放射線照射によって生じる生成物の分布が保存され、三次元的な線量分布を評価できる。特に、重粒子線用のゲル線量計として機能する唯一の三次元線量計である。従来のフリッケゲル線量計に対して、放射線誘起の反応メカニズムは大きく異なっており、クレイゲル中では水和電子による鉄の還元反応が進行することで、LET非依存の感度特性を有することが明らかになった。その他にも、適したラジカル捕捉剤の添加によるLET依存性の変化の結果も得ることできた。
|