研究実績の概要 |
1. RIトレーサーの調製及びRI実験条件(RI濃度、液量)の決定を目指した。東北大学電子光理学研究センターではγ線照射により、V-50(γ,2n)V-48を得た。V-48と同時に放射性Sc-46が生成するが、これを溶媒抽出法によりV-48のみ単離することを検討した。V2O3酸化物に過酸化水素を含む濃塩酸を加えて溶解後乾固し、再度塩酸水溶液に溶解した。この溶液と有機相を混合振盪し、スカンジウムイオンとの分離を試みた。前年度に実施したイオン交換法よりも放射性廃棄物が少なく、手順が簡単であり、分離条件等について十分な検討ができた。 2. 前年度に引き続き、RI実験用の専用セルの開発を行った。既存の電池研究で用いてきたセルは内部構造が複雑で、RIを用いた実験をするには取扱いが難しいこと、構造の単純さだけでなくγ線測定を行うために必要な遮蔽体の配置、放射線検出器の配置を配慮する必要があった。前年度はセルの両サイドは構造保持能を有するSUS製とし、電解液と接触する部分には耐酸性を有するPP製としたが、本年度は耐薬品性があり、かつ構造材としても使用できるPEEK樹脂を用いた。前年度のセルの改善点を反映した流通セルの設計を行い、集電体として白金を使用したセルを作成した。 3. 膜透過モデルについて、本年度Y. A. GandomiらによりElectrochimica Actaにて報告されたモデルの妥当性の評価を行うことを試みた。前年度同様に、シミュレーションのための環境としてMathWorks社のMATLABを選択した。現在、膜透過モデルのパラメータの取得のための実験を行い、モデル骨格の構築を試みている。
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