研究課題
本研究は社会的孤立が個体の生存や生体恒常性の維持に関わる分子機構を解明することを目指すものである。これまでに、社会的孤立環境にある労働アリの顕著な寿命低下、及び行動量の上昇と消化量の低下という表現型を見出した。さらに、グループアリ、孤立アリから数個体を選び網羅的遺伝子発現を行った結果、プリン代謝経路に関わる酵素群の発現が孤立アリにおいて低下してることを見出した。この結果から、孤立アリの表現型に関わる遺伝子を同定することを目指し、dsRNAによる遺伝子発現抑制系のたちあげを試みた。これまでに食餌法、インジェクション法の両者を試み、食餌法は個体の栄養状態等に依存して実験条件の安定化を図ることが難しいことが明らかとなったが、インジェクション法により内在性の遺伝子発現に対して半分程度まで発現を抑制することに成功した。また腹部へのインジェクションにより、個体の頭部においてもそのノックダウン効果が得られることが明らかとなった。今後はこれらの個体を用いた行動、生理状態の変化を観察し、社会的孤立が個体の健康と寿命を制御する機構の解明につなげたいと考える。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
eLife
巻: 5 ページ: e20375
http://dx.doi.org/10.7554/eLife.20375