本研究は、大脳皮質聴覚野(聴覚皮質)に見られる複数の亜領野からなる「機能マップ」の回路基盤である視床から聴覚皮質への並列投射の形成に関わる分子メカニズムの解明を目的としていた。そのために、DNAマイクロアレイを用いてマウス視床内側膝状体腹側核(MGv)に特異的な遺伝子の探索を行った。その結果、発達期マウスのMGv内側から外側への発現勾配を示す膜たんぱく質遺伝子を同定した。この発現パターンは、視床-聴覚皮質の並列投射マップのパターンに対応したものであった。このことから、これらの遺伝子が発達期において、視床-聴覚皮質の投射形成に関与する可能性が示唆された。
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