研究実績の概要 |
プルキンエ細胞樹状突起形態形成にかかわる神経活動依存的な分子メカニズムを解明するため、簡便で効率的なゲノム編集ツールとして近年注目されているCRISPR/Cas9システムを導入し、子宮内電気穿孔法と組み合わせることで、プルキンエ細胞における各種標的遺伝子のノックアウトする手法を確立した(J Neurosci, 2015)。本手法を用いて、カルシウム/カルモジュリン依存的プロテインキナーゼCaMK2aが、樹状突起形態に必要であることを見出した。すなわち、神経活動依存的なカルシウム流入とCaMK2a活性化が、樹状突起形態を制御することが示唆された。 また、プルキンエ細胞が樹状突起を大きく形態変化させる生後8日目前後において、カルシウム動態を、in vivo2光子イメージング法によって観察し、樹状突起ごとのカルシウム動態の変化を計測するとともに、それぞれの突起のその後の成長あるいは退縮過程を明らかにした。 また、プルキンエ細胞において樹状突起の形態形成にシナプス入力がどのような役割を果たすかを、シナプス形成に異常をきたす各種ノックアウトマウスを利用して検討した。その結果、平行線維シナプスの形成が減弱するマウスにおいて、プルキンエ細胞樹状突起形成に異常が見られることが分かった。すなわち、平行線維のシナプス入力が、樹状突起形態を制御する可能性が見出された。
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