平成26年度、2光子カルシウムイメージングの対象としたのは大脳皮質第2/3層の細胞体であったが、本年度はまずこれを第5層の細胞体まで拡張し、さらに、軸索と樹状突起といったサブセルラー構造のイメージングも行った。活動の活発なスパインの集積が単一細胞オペラント条件付けに重要な役割を果たすならば、それらの結果生じると考えられる樹状突起におけるカルシウムトランジエントは強化の対象になるはずである。ところが、樹状突起活動のみをトリガーとした報酬のフィードバックだけでは樹状突起カルシウムトランジエントの頻度増加に結びつかなかった。 平成26年度に明らかになった報酬とタイミングに依存した神経細胞活動の変化は、強化学習の文脈で理解できると考えられたため、これを強化学習モデルとして実装することに成功した。局所的な報酬タイミング依存性シナプス可塑性によって、既に実験的に見出されている現象が再現可能であることが明らかになった。 本研究は大脳運動野を対象としている。運動野の活動が如何なる運動表出と結び付いているかを問う基盤的実験も並行して行ったところ、運動野の局所的光刺激によって様々な複雑運動を誘発可能であることが明らかになった。
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