研究課題/領域番号 |
26830026
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 暢明 北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (20517924)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 神経生物学 |
研究実績の概要 |
動物は異なる感覚器官で受容した情報を脳内で絶えず統合している。本研究では、比較的シンプルな脳をもち、様々な遺伝学的手法を用いることのできるショウジョウバエを使って、視覚・味覚・嗅覚の情報を統合する脳領域を同定し、感覚情報の統合処理過程を明らかにすることを目的としている。 平成27年度は、異種感覚を統合すると考えられる領域に連絡する神経の同定を引き続き行った。昨年度までに、2経路の神経の形態を明らかにしていたが、まだ未同定の経路が存在していた。そこで、そうした経路の神経で遺伝子発現を誘導できる系統のスクリーニングを行い、新たに6経路を通る神経の形態を明らかにすることができた。各経路には1種類の神経のみが連絡するとは限らず、さまざまなタイプの神経が連絡していた。また、その各経路の神経が感覚情報を受け取る1次感覚中枢内で連絡する領域や、その2次領域への投射様式を解明することができた。その結果と、他の昆虫も含めた過去の知見から、異種感覚統合を行っていると考えられる領域に伝えられる感覚情報を推定することができた。さらに、味覚・視覚・嗅覚の感覚情報を統合すると考えられる領域は、複数の小領域に分割できること、そして、その各小領域に連絡する1次感覚中枢の組み合わせが異なることから、異種感覚統合は、個々の領域ごとに異なる統合が行われることが示唆された。以上の結果をまとめ、国内外の学会で成果を発表し、また、国際誌に現在論文を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定よりも若干遅れは出ている。それは、当初の予定よりも、異種感覚統合に関与すると考えられる神経細胞が多種にわたり、かつその統合過程に関わる領域の内部構造がこれまで知られていたよりも複雑であったために、その解析に時間がかかってしまったためである。また、論文を投稿したのだが、その論文投稿準備に時間を費やしたことも理由として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は、投稿した論文を受理させる作業と並行して、様々な感覚刺激を与えながら、感覚情報の統合処理に関与すると考えられる領域で局所電位を記録し、各1次感覚中枢から伝えられる感覚情報を明らかにし、その統合過程を調べる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
神経経路の解析に時間がかかり、当初の予定よりも論文投稿が遅れたために論文掲載費用を2015年度に支払えなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
すでに投稿済みの論文が受理されれば、その論文掲載費として次年度使用額を使用する予定である。
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