新鮮凍結切片を用いた免疫染色によりのGiantinのin vivo での発現を調べた。その結果、正常個体では、軟骨細胞だけでなく、繊維芽細胞や内皮細胞など、ほぼ全ての細胞でGiantinの発現が認められた。一方、OCDではGiantinのシグナルは認められず、以前のウェスタンブロット解析と一致した結果が得られた。また、Giantinとともにゴルジ体における輸送小胞の繋留に関わるGM130は、正常組織においてGiantinと共局在することが認められ、OCDの組織においても正常個体と同様にほぼ全ての細胞でGM130の発現が認められた。 組織学的および免疫組織学的解析の結果、OCDの軟骨ではサフラニンO染色の染色性が低下とアザン染色の染色性の増強が認められ、酸性ムコ多糖の減少と膠原線維の増加が生じていることが示された。またOCDの軟骨では正常個体の軟骨と比較して11型コラーゲンの著しく強いシグナルが観察された。 肋軟骨から単離した軟骨細胞の浮遊培養を行い、細胞外基質の染色を行った。その結果、正常個体の軟骨細胞では細胞同士が緩く結合した凝集塊が形成されたのに対し、OCDの軟骨細胞は細胞同士が密に結合した凝集塊を形成した。また、いずれの浮遊細胞の凝集塊でもアグリカンを含む複数の細胞外基質のシグナルが観察された。 ほぼ全ての細胞がGiantinを発現しているが、Giantinを欠損するOCDラットは胎齢早期に致死とならず、骨軟骨など限られた臓器・器官の異常を呈することから、Giantinが細胞特異的な機能を有していることが示された。また、OCDの軟骨では11型コラーゲンのシグナルの増強が認められたことから、Giantinはアグリカンの輸送に必須なだけではなく、他の軟骨基質の輸送もしくは産生のバランスを保つ役割を有していることが示唆された。
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