研究課題/領域番号 |
26830063
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研究機関 | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
研究代表者 |
内尾 こずえ 独立行政法人医薬基盤研究所, 難病・疾患資源研究部, 主任研究員 (70373397)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 実験動物 / 腎疾患 / 疾患モデル |
研究実績の概要 |
人工透析患者数は増加の一途を辿っているが、残念ながら未だ腎疾患に根本的な治療法はない。病因が多様であることに加え、ヒト腎疾患に近似した表現型を呈する有用なモデル動物が少ないことも創薬・治療法開発遅延の要因となっている。これはモデル開発に多用されるC57BL/6マウス系統が腎疾患抵抗性の傾向があることが一因と考えられる。そこで本研究では腎疾患高感受性のC57BL/6マウス系統を樹立し、多用なヒト腎疾患モデル作製に対応可能な汎用性の高い系統として広く分譲し、創薬・治療法開発に貢献することを目的としている。 1.腎疾患感受性に関連するゲノム領域の同定:腎疾患高感受性であるDBA/2マウス系統および抵抗性C57BL/6の比較(QTL解析およびDNAマイクロアレイ解析)により、腎疾患感受性に関連するゲノム領域を同定した。 2.上記ゲノム領域をもつC57BL/6系統を作製:1.で同定したゲノム領域を持つコンジェニック系統(背景C57BL/6)を作製し、表現型解析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は創薬・治療法開発に利用できる新規腎疾患モデルマウスの作製を目的とし、本年度は腎疾患感受性に関与するゲノム領域の同定を行い、その領域を持つコンジェニック系統を作製を開始した。QTL解析およびDNAマイクロアレイ解析により腎疾患感受性に関与するゲノム領域の絞り込みに成功し、予定通り進行している。さらに前述したゲノム領域を持つコンジェニック系統の作製に着手し、順調に研究が進展している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度には、腎疾患感受性ゲノム領域を持つコンジェニック系統の表現型解析に取り組み、作製したマウスが汎用性の高い系統として利用可能かどうか、慎重に評価を進める。具体的には、血清生化学解析(血清アルブミン、BUN,クレアチニン等)、腎病理検査(PAS染色、シリウスレッド染色、電子顕微鏡による観察等)、遺伝子発現解析(炎症・線維症に関与する分子をReal Time PCR方にて解析)を実施する。腎疾患モデルとして有用な系統と評価した後、資源バンクへの登録を行い、広く分譲する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、今年度中に腎疾患感受性ゲノム領域についての論文投稿を計画していたが、その領域を持つコンジェニック系統の表現型解析結果を含めた論文を作成する方がより質の高い内容となると判断した。そのため投稿にかかる費用として当該助成金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は本研究で作製した新規腎疾患モデルマウスの表現型解析を実施するため、以下の研究費を要する。 病態解析に必要な消耗品の内訳として、病理検査用試薬(染色液・抗体等)、Real Time PCR試薬、血清生化学用試薬等の費用、新規腎疾患モデルマウスの動物飼育費を計上した。また成果を学会・論文で発表するための費用を計上した。
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