癌の発症・進展には炎症細胞や血管細胞、線維芽細胞などにより形成される腫瘍間質が重要な役割を果たしている。本研究では、複数細胞により構成される腫瘍組織内の細胞間相互作用を解析する手法(がん―間質インタラクトーム)により膵臓癌移植モデルを解析し、癌細胞から間質への新規シグナル経路としてWNTシグナル経路を同定した。さらに、WNTシグナル経路の活性化はマクロファージの炎症応答を抑制すること、その抑制メカニズムは、NFκBシグナル経路の抑制を介していることを見出した。以上のことから、がん細胞由来WNTシグナルによる免疫細胞活性化制御機構が、癌組織における免疫寛容を誘導している可能性が示唆された。
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