レトロエレメントによるエピゲノム変動可視化レポーターを用いた発がんメカニズム解明

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 26830069
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 蝉 克憲 京都大学, iPS細胞研究所, 研究員 (90633058)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: がん / リプログラミング / エピジェネティクス

研究実績の概要

エピゲノム発がんモデル(tetO-OSKM)、大腸腫瘍モデル（Apc min）、肺がんモデル（Sfpc-CreERT2/LSL-KrasG12D/LSL-p53）において、レトロトランスポゾンLTRをプロモーターとして用いたレポーターの導入を行い、解析を行った結果、幾つかの発がんモデルにおいて、発がん誘導後にレポーター遺伝子の発現が認められた。
さらに、がん遺伝子の発現をドキシサイクリン添加により誘導可能なマウス淡明細胞肉腫（Clear Cell Sarcoma）細胞株を用いて、原因遺伝子であるEWS/ATF1融合遺伝子の発現、非発現時におけるレトロトランスポゾンの発現をRNA-seqにより検討したところ、非発現時に顕著に発現誘導が認められたレトロトランスポゾンの遺伝子座を同定することに成功した。現在、同定されたレトロトランスポゾンを用いた新規レポーターの構築を行っている。また、ヒトがん細胞株においても、がん遺伝子の機能抑制に伴うレトロトランスポゾンの発現誘導が認められたことから、レトロトランスポゾンをレポーターとして用いた新しい創薬スクリーニング系の樹立を試みている。本スクリーニングシステムについては、既に特許取得済である。

研究成果

• [雑誌論文] An EWS-FLI1-Induced Osteosarcoma Model Unveiled a Crucial Role of Impaired Osteogenic Differentiation on Osteosarcoma Development. (2016)
  • 著者名/発表者名: Komura S, Semi K, Itakura F, Shibata H, Ohno T, Hotta A, Woltjen K, Yamamoto T, Akiyama H, Yamada Y.
  • 雑誌名: Stem Cell Reports 巻: 6 ページ: 592-606
  • DOI: 10.1016/j.stemcr.2016.02.009
  • 査読あり
• [雑誌論文] Induced pluripotent stem cell technology for dissecting the cancer epigenome. (2015)
  • 著者名/発表者名: Semi K, Yamada Y.
  • 雑誌名: Cancer Sci. 巻: 106 ページ: 1251-1256
  • DOI: 10.1111/cas.12758
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Reducing DNA methylation suppresses colon carcinogenesis by inducing tumor cell differentiation. (2015)
  • 著者名/発表者名: Hatano Y, Semi K, Hashimoto K, Lee MS, Hirata A, Tomita H, Kuno T, Takamatsu M, Aoki K, Taketo MM, Kim YJ, Hara A, Yamada Y.
  • 雑誌名: Carcinogenesis 巻: 36 ページ: 719-729
  • DOI: 10.1093/carcin/bgv060
  • 査読あり
• [学会発表] Ablation of critical driver oncogenic signals induces epigenetic plasticity and genetic diversity of cancer cells (2016)
  • 著者名/発表者名: Katsunori Semi, Yutaka Matsuda, Shingo Komura, Knut Woltjen, Takuya Yamamoto, Yasuhiro Yamada
  • 学会等名: 第41回内藤カンファレンス
  • 発表場所: 北海道（札幌）
  • 年月日: 2016-07-05 – 2016-07-08
• [学会発表] Oncogene expression stabilizes cancer cell identity, revealed by cancer cell reprogramming (2015)
  • 著者名/発表者名: Katsunori Semi, Yutaka Matsuda, Shingo Komura, Knut Woltjen, Takuya Yamamoto, Yasuhiro Yamada
  • 学会等名: International Society for Stem Cell Research (ISSCR2015)
  • 発表場所: スウェーデン（ストックホルム）
  • 年月日: 2015-06-24 – 2015-06-27
  • 国際学会
• [図書] 日本臨牀 73巻5号 がん幹細胞 ―新しい医療を求めて― (2015)
  • 著者名/発表者名: 八木正樹、蝉克憲、山田康広
  • 総ページ数: 5
  • 出版者: 日本臨牀社
• [備考] iPS細胞を用いた新たな腫瘍モデルにより、 肉腫形成メカニズムの一端を解明
  • URL: http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/newslist/news/160318-090000.html
• [産業財産権] がんの治療薬のスクリーニング方法 (2016)
  • 発明者名: 山田 泰広, 蝉 克憲, Woltjen Knut, 松田 穣
  • 権利者名: 山田 泰広, 蝉 克憲, Woltjen Knut, 松田 穣
  • 産業財産権種類: 特許
  • 産業財産権番号: PCT/JP2016/060974
  • 出願年月日: 2016-04-01
  • 外国
• [産業財産権] がんの治療薬のスクリーニング方法 (2016)
  • 発明者名: 山田 泰広, 蝉 克憲, 山本 拓也
  • 権利者名: 山田 泰広, 蝉 克憲, 山本 拓也
  • 産業財産権種類: 特許
  • 産業財産権番号: PCT/JP2016/060975
  • 出願年月日: 2016-04-01
  • 外国
• [産業財産権] がんの治療薬のスクリーニング方法 (2015)
  • 発明者名: 山田 泰広, 蝉 克憲, Woltjen Knut, 松田 穣
  • 権利者名: 山田 泰広, 蝉 克憲, Woltjen Knut, 松田 穣
  • 産業財産権種類: 特許
  • 産業財産権番号: 2015-077264
  • 出願年月日: 2015-04-03
• [産業財産権] がんの治療薬のスクリーニング方法 (2015)
  • 発明者名: 山田 泰広, 蝉 克憲, 山本 拓也
  • 権利者名: 山田 泰広, 蝉 克憲, 山本 拓也
  • 産業財産権種類: 特許
  • 産業財産権番号: 2015-077267
  • 出願年月日: 2015-04-03