研究実績の概要 |
本研究では、癌微小環境における腫瘍関連マクロファージ(Tumor-Associated Macrophage, TAM)に注目し、生きたマウス中でのTAM発生メカニズム、およびTAMに関連するシグナル伝達を生体イメージングで明らかにすることを目的としていた。 imaging windowを用いた皮下モデルでの生体イメージングは前年度までにまとめることができたため、今年度は生体肺イメージング系を用いて癌微小環境を調べるために、マウス乳がん4T1細胞の転移プロセスに注目した。しかし、今回使用したマウス乳がん由来4T1細胞を移植したマウス肺のイメージング系では、TAMよりもむしろ、腫瘍関連好中球(Tumor-Associated Neutrophil, TAN)の発生や動態に、がん細胞由来のケモカインや細胞外マトリックスタンパク質(オステオポンチン)が重要な働きを持っていることを抗体アレイ等で見出したため、TANに焦点を移した。二光子顕微鏡を用いた生体イメージングやin vitroでの凝集アッセイ、免疫組織染色等での解析の結果、オステオポンチンが細胞凝集を惹起し、好中球のERK活性化と好中球細胞死(NETosis)を伴って癌転移を促進していることを突き止め、論文に発表した。 マウス骨髄移植によって必要な実験が可能であることがわかったので、当初予定していたLysM-Creマウスを用いた解析は行わなかった。
|