マウス胎仔由来線維芽細胞をモデル細胞としてNAD+代謝環境が「細胞老化」と「がん化」のふたつの細胞機能に関わること知見を得ることができた。NAD+再利用経路の律速酵素NAMPTを安定的に高発現するマウス胎仔由来線維芽細胞は、細胞老化の遅延を引き起こすことが明らかになり、また、遺伝子導入によりがん化させた細胞は、がん化の程度が低くなることを示唆する知見が得られた。これらの結果は、マウス胎仔由来線維芽細胞ではNAMPTの高発現、すなわち細胞内NAD+量を高く維持することが老化やがん化などの細胞機能の異常に対して負に働く可能性を示唆している。
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