当初計画していた通り、血管内皮細胞特異的CUL3コンディショナルノックアウトマウスをを作成したが、タモキシフェン投与によるCUL3の発現抑制効果が著しく低く、本マウスを用いた解析困難であった。そのため、in vitro血管新生に系を移行し、血管新生を制御するCUL3パートナー分子の探索実験を主軸として進めることとした。そこで、前年度に樹立したCUL3複合体解析系とBTBドメインタンパク質を標的としたsiRNAライブラリーを用いて、血管新生を時空間的に制御するCUL3結合パートナー分子の探索を行ったところ、KCTDファミリータンパク質を同定することに成功した。CUL3およびKCTDを血管内皮細胞において発現抑制すると、血管伸長が著しく抑制されることがわかった。この血管新生抑制効果およびその様式は、細胞運動異常を招くという点で、CUL3およびKCTD両者の発現抑制系で類似しており、CUL3-KCTDが血管内皮細胞運動制御因子をユビキチン化標的分子としていることが示唆される。見出した分子機構は血管新生を標的とする新規薬剤開発の基盤となる可能性がある。なお、本研究で得られた成果については、現在英文雑誌投稿準備中である。
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