研究課題
近年癌細胞の浸潤・転移過程において、一定の細胞形態を持って基底膜上に配列している上皮系の細胞がその細胞極性を失い、間葉系細胞に変化し、間質内へ浸潤し転移する現象として上皮間葉形態転換(Epithelial-Mesenchymal Transition: EMT ) が注目されているが、このEMT現象が子宮内膜癌において重要な予後因子となる事を報告してきた。このEMT現象において上皮細胞と間質細胞との相互作用が注目されているが、我々は主として間質細胞から生成されるDecorinという細胞外基質蛋白に着目した。我々はプロゲステロン製剤が子宮内膜に与える影響を検討する中で、プロゲステロン製剤がこのDecorinを誘導し、Decorinがp21を制御する事で細胞周期に大きな影響を与える事またそれと同時にEMT関連遺伝子(SnailやSlug、E-cadherin、N-cadherin、Vimentin)とも同様に強く相関している事を見出した。
2: おおむね順調に進展している
Decorinがp21を介して細胞周期の制御にかかわる事を見出し論文を作成した。またその細胞間基質が上皮間葉転換すなわち浸潤・転移にも影響を与える事を確認した。
今後は子宮内膜細胞においてDecorinがどのようなカスケードを介して上皮間葉転換に影響を与えるのかを解析したい。そのメカニズムが解明されれば子宮内膜癌の浸潤・転移の一因が明らかなになるものと考えている。
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J Ovarian Res.
巻: 27 ページ: 76-80
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巻: 223 ページ: 203-216