胸腺上皮腫瘍(TET)31例において、KRAS2例(6.5%)、BRAF1例(3.2%)に変異を認めた。また、網羅的トランスクリプトーム解析では胸腺癌では低酸素関連マーカーが有意に発現しており、特にCA9(carbonic anhydrase IX)が高発現していた。免疫染色による評価ではCA9タンパク発現は正岡分類、WHO分類とも有意に相関し、術後無再発生存の有意な予後不良因子であった。 in vitroの実験系においても、胸腺癌細胞株Ty-82はCA9を抑制すると増殖が抑制され、放射線感受性が上昇することを確認した。CA9は胸腺癌治療の新規標的分子として有望である。
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