【目的】我々のグループではpoly G ODNがマウスにおいて腫瘍抗原特異的にCD8陽性T細胞の活性を誘導し、IL-2産生を促進することなどが報告したが、ヒトにおける作用は不明であった。今回、このODNによる新規抗癌免疫療法の確立を目指し、ヒト検体を用いてpoly G ODNの免疫学的作用に関して検討した。【結果】ヒト健常者および肺癌患者由来PBMCでのT cell proliferation assayでは、poly G ODNの添加によりcontrolに比し有意な増殖を示した(p < 0.05)。intracellular IFN-γ assayではpoly GによりPBMCにおいてIFN-γの産生増強を認めたが、IL-2の産生増強はELISAおよびELIsopt法のいずれの方法でも変化は認めなかった。また、磁性ビーズにより単離したCD3陽性細胞のみではPoly G ODNによる作用は認めない事から、このODNによる免疫賦活作用はマウスとヒトにおいて異なる事が明らかとなった。更にPBMCを用いた単球の分化誘導に関する検討を行い、Poly GによりCD68+CD86+CD163-細胞の有意な増加を認め、そのメカニズムとしてstat1 のリン酸化が亢進することを明らかにした。癌の微小環境では免疫が抑制的に制御されていることから、この免疫環境と類似の環境である肺癌患者の癌性胸水を用いた検討でも、poly G ODNにより有意に免疫細胞の増殖が認められた。【結論】Poly G ODNはヒトにおいては単球の分化誘導を促進する事で免疫賦活効果を呈する事、癌微小環境においてもその作用を示す可能性が示された。Poly G ODNは難治性癌に対する新規免疫療法として有望であり、臨床応用を目指して今後も検討を続ける。
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