本研究は、我々が開発し、既に臨床応用している細胞免疫療法;ナイーブリッチリンパ球療法・高純度NK細胞療法と、腫瘍局所での免疫抑制環境を解除する抑制系免疫チェックポイント阻害剤;抗CTLA-4抗体薬・抗PD-1抗体薬との併用についての基礎的検討を行うことを主目的としている。 細胞免疫療法単独では抗腫瘍効果が低い理由として、腫瘍局所での免疫抑制機序が大きく関与しているが、抑制系免疫チェックポイント阻害剤を併用することにより、細胞免疫療法の抗腫瘍効果の増強を目指す治療の開始が臨床上目前に迫っているが、併用に対する方法論や免疫学的考察、安全性などについての基礎的検討は行われていないため、本研究ではこれらの点を検討する。 前年までに、マウスでの実験系において、細胞免疫療法との併用を検討する上での最適な抗PD-1抗体薬の容量設定を行った。その容量を元に、本年度は、NK細胞療法の併用を予定していた。さらに、NK細胞は、以前の他の研究者との検討にて、拡大培養が可能であったため、その条件を元に拡大培養を行ったが、拡大培養が不十分であり、他の方法や、様々な条件を検討したが、培養条件設定が困難であったため、マウス脾臓より直接NK細胞を分離する方法へ切り替えた。 本年度は、まずマウス脾臓より直接分離したNK細胞を用いて、マウスでの実験系において、抗PD-1抗体薬との併用を検討する上での最適な細胞投与量の設定を行った。抗PD-1抗体薬については、10μg/匹、NK細胞については、1×105個/匹投与が、併用療法を検討する上での最適な濃度、細胞投与量であった。 これらの条件を元に、併用による検討を行い、抗PD-1抗体薬、NK細胞療法それぞれの単独治療に比べ、併用療法にて抗腫瘍効果が高まるIn Vivoでの結果を得た。今後、この結果に対する詳細な検討を行うことを予定している。
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