研究課題
膜表面分子CD26は悪性中皮腫において、浸潤・転移を促進することが明らかになっているが、その機序は未だ解明の途上である。これまでに本研究では、複数の悪性中皮腫においてCD26と発現相関するタンパク質・periostinに着目し、periostinがCD26の浸潤・転移に不可欠であること、またその調節メカニズムを明らかにしてきた。今年度は実際に患者検体を用いた検討を行った。まず、悪性中皮腫患血清中のCD26タンパク質量およびDPPIV酵素活性を観察したところ、健常人よりも低下傾向にあった。一方periostinは健常人では検出限界以下であり、悪性中皮腫患者では、ばらつきが大きいものの、増加している例が複数例認められた。以上より、CD26の発現レベルは血清レベルではperiostin濃度と相関しないことが示された。そこで病理組織を用いた免疫染色法をもちいて、CD26とperiostinの発現を調べた。悪性中皮腫の組織をperiostinの抗体で染色したところ、CD26を発現している悪性中皮腫組織のほぼ全てにおいてperiostinの発現が見られた。以上の結果より、CD26は悪性中皮腫局所のperiostin発現促進作用に関わっている可能性が考えられる。
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Front Biosci
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J Dermatol Sci.
巻: 86 ページ: 212-221
10.1016/j.jdermsci.2017.03.005.