悪性胸膜中皮腫 (MPM) は、胸膜に裏打ちされた中皮細胞から発生する侵襲性の高いがんである。一般的にアスベスト暴露歴との関連が知られているが予後が悪く、悪性化の分子メカニズムの解明が遅れている。本研究では、CD26の発現上昇とMPM細胞運動能の促進について、インテグリン接着因子に着目して研究を行った。その結果、CD26がペリオスチンの発現上昇を引き起こし、MPMの遊走・浸潤能を亢進することが示された。またペリオスチンの発現上昇は、CD26がSrcをリン酸化し、転写因子Twist 1の核内移行を促進した結果であることを示した。以上の結果は、MPM の新たな治療戦略に寄与すると考えられる。
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