本研究では、チロシン残基のリン酸化の解析に焦点を当てて、リン酸化チロシン含有ペプチドを選択的に濃縮する手法を開発し、細胞内で起きているチロシンリン酸化の大規模解析およびそのデータに基づくシグナル伝達ネットワーク解析を行った。 従来のリン酸化ペプチド濃縮法である酸化金属クロマトグラフィー法と抗リン酸化チロシン抗体による免疫沈降、あるいは組み換えチロシンキナーゼを用いたin vitroリン酸化を組み合わせた方法の開発により、生体試料における大規模なリン酸化チロシンの同定に成功した。これらの方法を用いて、がんの分子標的薬の作用評価を行い、薬物処理によって変動するリン酸化部位の同定に成功した。
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