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2014 年度 実施状況報告書

オリゴDNAを用いた新技術による転写活性化機構の解析と再生医療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 26830130
研究機関筑波大学

研究代表者

仲島 由佳  筑波大学, 生命環境系, 助教 (40399499)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード転写 / DNAオリゴヌクレオチド
研究実績の概要

申請者は、DNAオリゴヌクレオチド(ジーンジャックオリゴDNA:オリゴDNA)により標的遺伝子の転写を活性化出来ることを見出した。そこで、詳しい分子機構を解析するために、以下のように実験を進めた。
はじめに、オリゴDNAによる転写活性化と標的とるすゲノミックDNAのクロマチン状態の関係をDNase感受性実験を行い検討した。その結果、MyoDプロモーターの場合、DNaseの感受性が高い、クロマチン状態が開いていると考えられる領域とオリゴDNAにより転写活性化が可能なゲノミックDNA上の標的領域が相関する可能性が示唆された。
次に、オリゴDNAと細胞内のゲノミックDNAとの相互作用を検討を行った結果、オリゴDNAがゲノミックDNAに結合していることをが明らかになった。さらに、オリゴDNAの長さと転写活性化能の関係を検討した結果、プロモーター結合配列の長さを短くするに従い、オリゴDNAによる転写活性化能は限弱した。また、転写因子結合配列に変異を入れることにより、その転写活性化はほとんど見られなくなった。さらに、バイサルファイトシークエンスを行った結果、オリゴDNAによる転写活性化の際にはMyoD遺伝子のエンハンサー領域のメチル化が減少することが明らかになった。これらの結果から、オリゴDNAはゲノミックDNAに結合し、転写因子を標的遺伝子のプロモーター上にリクルートすることにより転写を活性化することが示唆された。
これまでに、オリゴDNAにより間葉系幹細胞から筋肉や骨への分化誘導可能なことを見出している。間葉系幹細胞はPPARgの活性化により脂肪細胞へ分化誘導可能かことから、PPARgを標的としたオリゴDNAの設計を試みた。しかしながら、プロモーターのどの位置に設計しても、あまり活性化は見られなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記載した「研究実施計画」の通りに進んだため。

今後の研究の推進方策

・ジーンジャックオリゴDNAによる細胞脱分化誘導の検討
これまでにマウス繊維芽細胞を脱分化させ、iPS細胞を樹立するのに必要な転写因子であるOct3/4、Sox2、KLF4、c-Mycの転写活性化がジーンジャックオリゴDNAにより誘導可能なことを確認している。また、4種類のジーンジャックオリゴDNAを混合することにより、4つの転写因子を同時に活性化することにも成功している。この手法による転写活性化は3日程度で消失することから、癌化の可能性の少ない安全なiPS細胞樹立につながる可能性がある。そこで、ジーンジャックオリゴDNAにより4因子を活性化させることで未分化誘導可能かどうかと、ジーンジャックオリゴDNAのゲノムDNAへのイングレーションの有無を検討する。この未分化誘導の検討において、標的遺伝子の転写活性化の際にゲノミックDNAの状態が変化するのかどうか(脱メチル化誘導)の解析を追加する。
・ジーンジャックオリゴDNAのin vivo投与によるインスリン産生の検討
これまでにマウス肝細胞にジーンジャックオリゴDNAを導入することで、インスリンの転写を非常に強く誘導出来ることを明らかにしている。肝臓は非常に大きな臓器であり、その一部の細胞が他の働きを行ったとしても、その影響は少ない。ジーンジャックオリゴDNAを個体に直接投与し作用させられるかどうかを肝臓におけるインスリンの発現を解析することにより検討する。

次年度使用額が生じた理由

本研究で検討している技術は非常に汎用性の高い技術であると考えられるため、特許出願を検討している。そのため、本年度は学会発表を控え、旅費を計上しなかったため。

次年度使用額の使用計画

脱分化の指標としてDNAの脱メチル化が知られている。このDNAの脱メチル化の検討実験を平成27年度の実験計画に加え、その費用に充当する。さらに、in vivo実験はその技術取得が難しいと予想される。そのため、当初計上していなかったin vivo実験の技術取得のための費用に充当する。

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公開日: 2016-06-01  

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