これまでに存在していた機械学習を用いたGタンパク共役受容体(GPCR)とペプチド性リガンドとの相互作用予測手法は、 を改善し、真に相互作用に起因する因子のみを抽出して予測モデルを構築することで、 本年度は、昨年度に引き続き本研究機関に開発した機械学習を用いた相互作用を用いてホヤGタンパク共役受容体(GPCR)とホヤの神経ペプチドの相互作用を予測した結果の実験検証を行った。実験検証においては、HEK293等の哺乳類の培養細胞を用いた発現系では活性の検証に十分な発現量を細胞膜に得ることができなかったため、培養温度がホヤの至適温度により近い、昆虫細胞(Sf9)を用い、バキュロウィルスベクターでGαq16を融合したGPCRを発現させ、ペプチド添加時の細胞内カルシウム動員を測定することで検証を行った。その結果、4種類の新規相互作用を検出することが出来た。本研究で検出されたこれらのペプチド性リガンドはこれまでに相互作用の知られる他の動物のどのペプチド性リガンドとも単純な相同性が認められず、受容体についてもこれまでに知られるペプチド性リガンドが相互作用するどのGPCRとも相同性を示さない意外な受容体であった。今後、得られた新規相互作用とその相互作用予測手法について論文を執筆すると共にこれらの新規相互作用がホヤにおいてどのような生理現象を司っているのかについて解析を行っていく。また、本予測器が哺乳類以外の無脊椎動物のGPCR-ペプチド間相互作用の予測も行えることから、予測モデルの解析によりGPCRーペプチド間の一般法則を明らかにしていく予定である。
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