4年目は累代飼育していたチャマダラセセリの飼育に関する研究を行った。 1.交尾・産卵実験 チャマダラセセリは人工での交尾成功事例がほとんどなく、そのことから累代飼育が進まないことが問題であった。そこで幼虫から羽化した成虫個体を用いて30回交尾実験を行い、交尾が成功した雌成虫はその後産卵実験を行った。その結果、5ペア成功し、交尾成功率は16.7%であった。オスの平均羽化後日数、メスの平均羽化後日数、平均気温はそれぞれ成功例で4.8日、2.4日、30.7℃、失敗例で5.1日、2.6日、29.1℃であった。成功例と失敗例のオスとメスの羽化後日数の間には有意差はなかった。成功例は失敗例より有意に気温が高かった。成功したペアにおける平均交尾時間は38.75分であった。交尾が成功した♀成虫を順にABCDEとし、リシャール式採卵法で産卵させたところ、Aははじめて産卵した日から6日間生存し3回の実験で40卵、Bは3日間生存し2回の実験で14卵、Cは2日間生存し1回の実験で11卵、Dは10日間生存し4回の実験で72卵、Eは6日間生存し3回の実験で40卵産卵した。平均産卵数は35.4卵であった。 2.部分2化の解明 チャマダラセセリは2化することが知られているが、地域により完全2化と部分2化があり、その生態についてはまったく分かっていない。そこで様々な日長で室内飼育を行った。その結果、蛹化してから40日以内に羽化した2化成虫の羽化率は12L:12Dで0%、13L:11Dで0%、14L:10Dで7.7%、15L:9Dで0%、16L:8Dで16.7%であった。また、年内までの羽化率は12L:12Dで60.0%、13L:11Dで77.8%、14L:10Dで76.9%、15L:9Dで16.7%、16L:8Dで0%であった。
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