研究課題/領域番号 |
26830144
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
井川 武 広島大学, 国際協力研究科, 助教 (00507197)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 両生類 / 絶滅危惧種 / 西南諸島 / 主要組織適合遺伝子複合体 / MHC / トランスクリプトーム / RNA-seq / 発現解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、西南諸島産両生類絶滅危惧種について、主要組織適合遺伝子複合体(Major Histocompatibility Complex: MHC)遺伝子を単離し、そのゲノム構造及び、抗原認識部位の多様性を解明することで、当該絶滅危惧種の疫学的リスクの予測に繋げることである。MHCは病原体の構成物質を抗原として認識し、免疫応答を開始させるトリガーとなる重要な分子であり、MHCの多様性と病原体への抵抗性の相関が知られている。特に、外的環境にさらされ、水棲生活と陸上生活の両方を有する両生類では、様々な病原体に抵抗するためにMHC遺伝子の多様性は非常に重要である。 本年度は、前年度に次世代シークエンサーにより得られた8種(アマミイシカワガエル、オキナワイシカワガエル、アマミハナサキガエル、ハナサキガエル、オオハナサキガエル、オットンガエル、ホルストガエル、イボイモリ)それぞれの皮膚及び脾臓の、トランスクリプトームデータの解析を進めるとともに、遺伝的多様性を評価する上で、基盤となる集団構造の解析を並行して進めた。また、イボイモリについては、MHC class II遺伝子の一部のcDNA配列の決定に成功した。さらに、島嶼産絶滅危惧種との比較のため、本州産アカガエル類のMHC class I遺伝子の配列及び、多様性の調査を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の対象種、ほぼすべてにおいて、トランスクリプトームデータを得て、主要組織適合遺伝子複合体を得ることに成功した。また、一部の種においてはcDNA全長を得つつあり、また本研究の基盤として重要なそれぞれの種での集団遺伝学的データも収集を完了しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
現在得られているデータの解析をさらに進めるとともに、集団におけるそれらの遺伝子の発現量及び、多様性について引き続き解析を進める。また共同研究者らと連携し、他種との比較など総合的な議論を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次世代シークエンスに実際に経費が想定よりも少なかったこと、また、予定していたクローニングに掛かる経費が今のところ支出されていなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
既存の試薬の補充、特にクローニング試薬等の購入に充てる。
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