研究課題/領域番号 |
26840009
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川上 慶 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(PD) (00722836)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ヘテロクロマチン / RNAi / 小分子RNA / セントロメア / 分裂酵母 |
研究実績の概要 |
本研究では、分裂酵母をモデル生物に用いて、核内におけるへテロクロマチンクラスター形成機構を分子レベルで明らかにすることを目的とする。分裂酵母のゲノム上に点在するヘテロクロマチンはRNAi依存的に核内で数カ所に集約されるが、その分子メカニズムは明らかではない。また、内在性のヘテロクロマチン構造を解析の対象にした場合、それに隣接するセントロメアやテロメアなどの染色体構造のクラスタリング機能に影響を受け、純粋にヘテロクロマチン構造のクラスタリング機能を解析することが困難であった。そこで、平成26年度は、染色体上の任意の場所にRNAi依存的にヘテロクロマチンを誘導する系の検討を行った。セントロメアヘテロクロマチン由来の配列を持つ転写ユニットをユークロマチン上に組み込んだ系において、RNAi依存的に転写産物が小分子RNAへと変換されることを確認した。ヒストンH3の9番目のリジンのメチル化修飾(H3K9me)の状況をクロマチン免疫沈降法で解析したところ、転写ユニットの周囲20kbsの領域がRNAi依存的にヘテロクロマチン化されることが分かった。この異所的ヘテロクロマチンはセントロメアヘテロクロマチン構造と比較して大きさやH3K9meの程度に遜色が無いことから、解析に理想的なヘテロクロマチンが構築できたと考えられる。今後、この異所的ヘテロクロマチンの座位をGFP-LacIとLacOシステムを用いて可視化し、その核内における挙動を解析する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まったく新たな染色体領域にRNAi依存的ヘテロクロマチンを構築し、その構造が核内挙動を解析する上で理想的なものだと評価できたため。
|
今後の研究の推進方策 |
異所的ヘテロクロマチンの座位をGFP-LacIとLacOシステムを用いて可視化し、その核内における挙動を解析する系を作成する。異所的に作成したヘテロクロマチンが内在性のヘテロクロマチンにクラスタリングする可能性があるため、内在性のヘテロクロマチン近傍に局在する因子を蛍光タンパク質で可視化し、合わせて局在解析を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度と平成27年度にまたぎ実験を行うことになり、消耗品の一部を平成27年度に購入することになったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
クロマチン免疫沈降法の際に必要となるチューブの購入に充てる。
|