研究課題
細胞小器官ミトコンドリアは独自のゲノム、ミトコンドリアDNA(mtDNA)を持つ。mtDNAはATP産生をはじめ様々なミトコンドリアの機能にとって重要であり、また、mtDNAに生じた変異が様々な疾患に関わっている。近年の研究から哺乳動物mtDNAには2つの複製モード(RITOLS複製とcoupled leading and lagging strand DNA合成)に由来する複製中間体が存在することが提唱されて、mtDNA複製系はそれまで考えられてきたよりも遥かに複雑であることが示唆された。この複雑さを考えたときmtDNA複製因子や複製の活性調節因子で未だに知られていないものが数多く存在すると推定される。本研究において、mtDNA複製に関与するタンパク質を探索して新規因子を同定し、mtDNA複製系をより深く理解することを目的とした。そこで、mtDNAが複製されるときにその複製フォーク(複製がおきているDNA上の場所)に必ず存在すると考えられるDNAヘリカーゼを利用して複製フォークにインターラクトしているタンパク質をタンパク質-DNA複合体として維持したまま精製することを目指して、このDNAヘリカーゼに免疫沈降用のペプチドタグを連結した融合タンパク質を誘導発現することのできるヒト培養細胞を作製し、免疫沈降法によってタンパク質-mtDNA複製フォーク複合体を精製した。また、複製開始領域にインターラクトしているタンパク質を捕捉するための実験系を構築してタンパク質-mtDNA複製開始領域の複合体の精製を試みた。そして、これらの複合体画分に含まれていたタンパク質を質量分析装置を用いて同定した。そして、同定されたタンパク質のうちmtDNA複製(調節)因子ではないかと推定されたタンパク質がmtDNA複製に寄与しているのかを、培養細胞においてそのタンパク質の発現を抑制することで検討した。
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医学のあゆみ
巻: 260 ページ: 5-10
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻: 113 ページ: E4276-4285
10.1073/pnas.1600537113
http://www.cclm2.med.kyushu-u.ac.jp/