チロシンキナーゼが機能する際の構造動態を明らかにすることは、創薬や生命現象の解明に役立つ。本研究では、チロシンキナーゼに内在する構造平衡をNMR法により解析することで、チロシンキナーゼの活性を担う動的構造を明らかにすることを目的とした。 c-Src、Fyn、c-Ablの大腸菌での発現・精製プロトコルを確立し、リン酸化状態を制御したサンプルを調製した。安定同位体標識サンプルのNMRスペクトル測定を行うことで、リン酸化状態や薬剤の結合に伴うNMRスペクトル変化の検出に成功した。このスペクトル変化がチロシンキナーゼの機能に関わる構造平衡を反映している可能性がある。
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